宇宙は空にあるというが、(狂人たちの戯れ言)、僕の宇宙はここにあると思う。僕は冥い地下遺跡の何もない部屋に座りこみ、漂う銀河の切れ端を眺めている。今は分かち合う人もいない景色だが、望めば──掌にこごめた小さな鐘をちりんとやるだけで、誰ぞがやってきて胞子の海に、ともに浸ってくれるだろう。
 誰ぞ! 僕はそうやって誤魔化しながらも、慣れ親しんだ暗がりに、青白い偽物の星明かりの間隙に、見知った顔を描こうとしている。彼ならばおぞましい碑も夜空の比喩で、つかの間の夢に憩うことを快く赦してくれるはずなのだ。狩人狩りの黒衣を好んで身につける君、初めて言葉を交わしてすぐに、僕は”次”を考えていた。醜く穢らわしいどの夜も、あの烏羽が翻れば、甘い空想のようだった! 狩りは僕らの誉れとなり、無気力な僕は繰り返される血反吐のような目覚めにも、清しき快哉を知るようになった。
 掌を返し、指先にわずかな力をかけて呼び子の鐘を転げ揺らせば、断絶を越えた反響が、次元の境を蕩かすのを感じる。いまや墓暴きの罪だけが共有できる全てだったから、僕の真実はここにしかない。君を欠く世界はきっと、どの瞳にも映らない。