「ジルナク、クリスマスにはなにが欲しい」
            「んー、親と兄貴」
            「そいつは無理だ」
            「じゃあ私、貴方が欲しいわ……その逞しい身体を感じさせて」
            「腎臓なら片っ方やってもいいぞ」
            「あんたの腎臓が俺に合うとは思えないね。おっと、どっちの意味でもないぞ。俺の免疫が許さないだろうって話さ……そうだな、あんたに俺の欲しいものは絶対に用意できないよ」
            「いいから言うだけ言ってみろって」
            「未来。あんたの未来。な、用意できないだろ。持ってない」
            「人にやれる未来なんかないからな」
            「それもそうだ。なあ、シャンパンでも買ってきてくれよ。それとクラッカーに乗せられる……ちっちゃな……味のついた……なんかをさ」
            「分かった」
            「あんたの欲しいもんは?」
            「未来だな。昔持ってたやつ」
            「薄汚いスパイ野郎には贅沢すぎる、別のにしてくれ」
            「ライターをくれよ。前のが駄目になった」
            「物持ち悪いな」