なんでいるんだよ、と言う暇もなく、ヨスタトは俺に歓迎の言葉を投げた。俺は困惑しきりのまま、ヨスタトが用意してくれたスープを飲んだ。家を出たのが今朝のことで、大学終わりに普通に帰ってきたような気がした。
            「どうして何も聞かないんだよ」
            「何を」
            「今までどこに居たのかとか」
            「聞く必要の無いことは聞かない主義でな」
            「ヨスタト……」
            「おかえり」
             俺は泣きたくなった。ここは俺の家ってだけでなく、ヨスタトの家だった。何泣いてんだ?とあきれ笑いが降ってきて、彼の手が俺の髪をくしゃくしゃにした。他人にこんな風に頭に触られたら不愉快だが、ヨスタトは他人じゃなかった。スープの温度と共に安心感が染み渡る。
            「ごめん。黙って消えたりして。ヨスタト、俺、俺はさ……」
             俺はさ……
             とまあこんなうまい話があるわけもない。もう百通りはこの浮わついた夢で遊んだ。ヨスタト、なんでいないんだよ。俺は飲むと愚痴っぽくなる。愚痴っぽくなるしくだらない妄想に浸りたくもなる。今度はどうしようかな。こんなのはどうだろう、やっぱり戻って来たんだ、お前が心配で……と現れたヨスタトとキスしてハッピーエンドだ。涙が出るほど馬鹿らしい。涙が出るほど……