どうして? きみは本棚に背をぶつけ、死ぬ間際の雀のような目で告げた。わたしの口づけは決して甘くはなかったらしい。それを残念に思いながら、彼の乾きがちな唇をもう一度、ごくわずかな力で食んで弄ぶ。すると控えめな抵抗がわたしの肩にかかるのだった、力任せに振り払うこともできるのに、きみはそうしない。きみはわたしを傷つけるようなことはしないね。いいだろう、それでいい。もっと傷つくといい。自分の傷を慈しむことほど、哀れで楽しい遊びなどあるものか。
「もうきみを愛していない」
わたしが囁くと、彼は両腕をだらりと下げて囁き返した、そういうことか、と。