われわれは眠かった。いつから? 庭に水仙が咲き始めてから。わたしは昼から惰眠をむさぼり、彼はこの眠りがあまりに気持ちよさそうなので、恨めしそうにこちらを見つめながら(まったくそんなことはない、ただただ眠そうに机に肘をついて)、うとうとしていた。わたしはそれを夢うつつの状態でうかがい知り、寝転がったままこう提案してやるのだった。
「ロス、こっちへ来て眠ったらいい」
彼は漕いでいた舟をはたと停めた。ささやかなうめき声が漏れる。
「いや、わたしはいいよ。夜に眠れなくなってしまう」
「昼寝は気持ちがいい、やりきれなさを薄める酒と同じくらいに」
「では尚更いけない。まったく、きみはあの手この手でわたしを誘惑しようとするね」唇が綻び、細い喉からは抑えた笑い声が愉快そうに漏れる。「困った子だ」
わたしもつられて笑った。
「言い方を変えよう。きみに隣に来てほしい。わたしの昼寝に付き合ってくれないか」
「そういうことなら」
迷い子を甘やかしすぎるわたしの神は、それまで頑張っていた机の天板から離れ、柔らかく、肌触りよく、暖まった寝具の上に身を横たえた。覆い越しの陽光はこの男に彫りつけられた呪わしい肩書きをものともせずに、彼を祝福したがっているようだった。眠気にすっかり鋭さを落とされた彼の瞳は、その内で光りと翳を和合させている。
「きみはあたたかいね」
「生きているからな」
「そうか。……おやすみ」
「おやすみ。夜には散歩でもしようじゃないか、弟の屋敷の周りをうろついてやるのもいいかもしれない。なに、少しからかってやるだけさ……起きていればの話……」