なにをどうしたって君は本当に綺麗だ、こうやって横たえてあるとつりあいのいいのがよく分かる。無駄のない体つきは君の商売道具でもあったし、ストイックな君に自堕落な生活は許されず、太ってる暇も痩せている暇もなかった。肌の色は血でも抜かれたように白すぎて(ようにというか……ただ、元からそうなんだよな)僕はいつも不安だった。でもほんの少しアルコールを入れてあげるとうっすら色づいて素敵なんだ、そのためなら買おうと思ってたレンズを諦めて百年前の瓶に換えたって惜しくはなかった。グラスに口をつけるとき、君はいつも微笑んでいた。それから上機嫌に歌を口ずさんだり、小さな提案をいっぱいした、一緒に過ごす時間を楽しくするアイデアなら山ほどあるらしかった。僕はそれに甘えてなまけていた、でも本当のところ、君にもたれてボンヤリしてられるだけでよかったんだよ。
僕が君の持ち物の中でもとびきり綺麗だと思っている瞳は、今は瞼の下に隠れてしまっている。こじ開けたりしたらまずいだろう、だいいち開けたところで白目剥いててお笑いなのはさすがの僕にも分かってるし。ただ、あの綺麗な瞳でもう一度僕を見てほしかった、だいたいお気楽ハッピーに過ごしている僕だけど、君の瞳の中にいるときが一番、幸せそうだった。