続きのない憂鬱

 僕の骨の上を毛虫が這う。針先の痛みは構造でなく毒が与えるものだろう。実際はなにもない腕の上に西日が注ぐ蜂蜜となにやら透き通って美しく浮かぶ薄い毛の並び。僕はまた骨の上を毛虫が這うのを感じた。規則正しく身体を曲げて、均等に長さを測ってみせる。また痛みが走る。そうして、西日が僕の腕をとろかしている。クリスに会いたい。でもきっと忙しいだろう、なにせ下の子が生まれたばかりだ。どの劇場を覗いても彼は居ない。家具のないアパートは楕円の絨毯だけを残して空っぽで、暖められた空気がやるせなかった。僕は痛みを感じる。また骨の上を毛虫が……