「Z、もう少し左にずれてくれないか?」
「どうして」
「いいから。……そうだ、その位置なら具合がいい、君からでは見えないが、後ろの窓からの日を丁度よく遮って……今の君は神様みたいに見える」
「神様か。君は神様を信じているのか」
「信じやしないさ。いてもいいとは思うよ、あのシマンスキーのやつが熱心に木っ端に接吻しているのなんかを見るとね……だがまあ、お上に見つかると怒られるだろう? カルティストは思想犯と同じかそれより酷い扱いをされるって評判だ、僕はごめん被るよ……もっとも、あいつとアダムスなら間違いなくあとのほうがいかれてるけど」
「いいや、君が一番いかれている。私が神様みたいに見えちゃおしまいだろう」
「神様におしまいだなんて言われたら本当におしまいだ。ハハ。あーあ」
「本のページを折らないでくれ。まったく、そうやってさぼりだすのは君の良くない癖だ……」