Kは前の晩、幸せな気持ちで眠りについた。Zは彼に少し重たい宿題を出していて、ようやっと読み終わったのがその日だった。これまでに比べると指二本分は分厚い書籍を読み解くうちに、彼は教師の「君は十分うまくやってきたから、やり遂げられるだけの力がついている」という言葉をはっきりと思い出したし、期待を裏切らぬ報告ができることを嬉しく思っていた。内容は確かに難しかったが、描写の巧みさに尻込みすることはなく、登場人物の心の機微はよくわかったし、自分なりの解釈を組み上げることにすら成功していた。披露するのが楽しみで仕方なく、薄い布切れの下で忍び笑うと、漏れ出た息が手元の皮膚をよく温めた。褒めてくれるだろう、少なくとも、よくできたと。そしてお気に入りの生徒がどの活字を拾い上げ、行間から何を見出したかを丁寧に聞いていてくれるはずだ。お茶の香りが電球の光の下でゆらめいて、それはそれは和やかな夕べになるはずだった。
Zはもう職場にいなかった。Kは新しくその名をもらった人間から、前任者が肺を病んでしまって、もうこれまでのような職に戻れないことを聞き出した。それから、彼の罪を告白した。もうずっと早くに諦めているべきだったのに、優しさにつけこんで友人を引き止めてしまったのだと。よりにもよって、こんな空気の悪い、ろくでもない場所に……