Kは行為の最中になにごとか囁きかけるのが好みのようで、とくに後ろから
「Z、君を愛してる……というのも君が愛すべき人だからさ、誰が……誰が親切で、まったくの……親切で、教師役を務めてくれるだろう……僕みたいなもののために」
そして今日ときたら! もう何度もこの調子で俺を褒めそやしている。なんて夢見がちな男だろう。しかしこちらはこちらで輪をかけて馬鹿だった。俺は身をよじり(恐ろしくもどかしげな仕草でだ)、「愛しているともっと言ってくれ」などとねだった。従順なKの好意がその通り捧げられると、視界の片隅にあった組み伏せられた自分の手が、妙に戯画的に映るようになった。これは今の我々そのもので、よくよく見ればなんと罪深い姿か、節の目立つ大きすぎるKの手は、けだもののように覆い被さってかたく握りこまれている。俺はというと、そのけだものの身の下で、そのけだものから愛情を引きずり出して悦んでいるのだ。またある別の一側面から観測すれば我々は教師と生徒だった。俺は導き手の権能をこんな行為に用いているというわけだ……生徒に手をつけた教師など、とても愛すべき善き隣人とはいえまい。おお、懺悔いたします免罪官どの──俺は自分に呼びかけた──私は読み書きを教えてやっている孤児と、汚らわしい関係を結びました。ですが誤解めされることのなきよう、孤児とはいっても彼はれっきとした大人の男で、ただ教養がないだけなのです……なんだ、俺に罪などないではないか。自らの意思を自由にできる成人同士の事情には、神にだって口を挟む筋合いなどない……
唐突に、それまでの曖昧な快感が痺れるような刺激に変わり、ぞっとするほど淫らな喘ぎが喉の隙間から這い落ちた。彼の動きに合わせて性的な快楽が打ち寄せるたび、白熱灯のフィラメントが焼き切れる像が脳裡に瞬いた。肌を重ねるごとに彼は上手くやるようになってきている。そのうちはじめから、さっきのような考え事をする余裕もなくなるだろう。シーツへ額を擦り付けて耐えていると、Kはまた耳元で「君を愛してる」と囁いた。みっともなく漏れる息をどうにか抑え、俺は返事をしてやることに決めた。後ろめたさも後悔もなく、これが真実だったからだ。
「私もだ、キリール、