私めのことなどどうでも良いではございませんか。勿論お知りになりたいのならお答えいたしますとも、ええ、とこしえの眠りから引き剥がされ、わけのわからぬ自我をそなえて地上で目をひらいた半端者、みじめったらしい継ぎはぎの肉人形でございますれば、暖かい魂に指先まで満ち満ちた完全な一個の人間である貴方がたに、どうしてつまらない反抗心などが芽ばえましょうか。私は大多数の骸、土くれをかぶって、肌を虫に食われるまま墓石を背負っていた輩とは、やや趣を異にした死体でございます。私を、正確には生前の私の身体と魂を、黄泉の国から引き戻すべく運んできたのは、造物主に拠るところ、私の最も親しい友なのであります。彼はひどく蝕まれて使い物にならなかった私の臓器を、自らのもので代替できないか、と申し出たそうでありまして、いやはや、げに美しきは無償の愛というもの、そのような愛と崇高なる我がフランケンシュタイン、造物主の御業によって、私はこの場に存在しているわけなのであります。さて、お気に召しましたかな?詰らない戯れ言でございましたでしょう、詰らない身の上話、当事者の私に一切思い出のない思い出話でございますれば、いささか退屈の虫の巣食う余地も広すぎる様な気がいたしますね、だから私めのことなどどうでも良いと申し上げたのです、今の私とは断絶した過去の過去でありますから、独立した現在の会話の上では尚更どうでもよろしい、時間を無駄にいたしましたね、いやはや!